広大な敷地と複雑に入り組んだターミナル、無数にあるレストランやショップ。
「どのターミナルに行けばいいのか分からない」
「駐車場はどこが一番近いのか」
「乗り継ぎ時間は足りるだろうか」
といった不安を抱えてはいませんか。
羽田空港は単なる通過点ではなく、一つの巨大な「街」のような存在です。
事前に正しい情報を知っているかどうかで、快適さは劇的に変わります。


第1章:羽田空港の全体像とターミナル完全攻略ガイド
羽田空港を利用する上で最初に躓きやすいのが、「自分の乗る飛行機はどのターミナルから出発するのか」という点です。
羽田空港には大きく分けて3つのターミナルビルが存在し、それぞれ乗り入れている航空会社や役割が明確に異なります。
間違ったターミナルに行ってしまうと、移動に時間がかかり、最悪の場合は乗り遅れてしまうリスクもあります。
まずは、この3つのターミナルの基本構造と、航空会社の振り分けを完璧にマスターしましょう。
第1ターミナル(T1):JALとスカイマーク、スターフライヤーの拠点
「ビッグバード」の愛称で親しまれてきた第1ターミナルは、主に日本航空(JAL)グループの国内線が発着する巨大なターミナルです。
利用する航空会社が以下の場合は、第1ターミナルを目指してください。
・日本航空(JAL):国内線全便
・日本トランスオーシャン航空(JTA)
・スカイマーク(SKY)
・スターフライヤー(SFJ):北九州・福岡行きのみ(※関西・山口宇部行きは第2ターミナルなので要注意です)
第1ターミナルは、中央のマーケットプレイスを挟んで「北ウイング」と「南ウイング」に分かれています。
JALを利用する場合、行き先によって北と南が異なるため、出発ロビーの掲示板や事前の案内メールを必ず確認してください。
一般的に、北海道・東北・北陸・東海・近畿方面は「北ウイング」、中国・四国・九州・沖縄方面は「南ウイング」を使用することが多いですが、便によって変動することもあります。
また、第1ターミナルは歴史がある分、設備が充実しており、レストランやショップの数も非常に多いのが特徴です。
地下1階には京急線と東京モノレールの駅が直結しており、到着ロビーや出発ロビーへのエスカレーターでのアクセスもスムーズです。
第2ターミナル(T2):ANAとエアドゥ、ソラシドエア、そして国際線
海側に位置し、開放的な吹き抜け構造が特徴の第2ターミナルは、主に全日本空輸(ANA)グループの拠点です。
以下の航空会社を利用する場合は、第2ターミナルへ向かってください。
・全日本空輸(ANA):国内線全便
・エアドゥ(ADO)
・ソラシドエア(SNA)
・スターフライヤー(SFJ):関西・山口宇部行きのみ
そして、ここで注意が必要なのが「ANAの国際線」の一部も、この第2ターミナルから出発するようになったという点です。
2020年以降、第2ターミナルには国際線エリアが増設されました。
ANAの国際線に乗る場合、便によって「第2ターミナル出発」と「第3ターミナル出発」の2パターンが存在します。
これを間違えると、ターミナル間移動が必要になり、大幅なタイムロスとなります。
Eチケット控えやアプリの案内を、出発当日の朝にもう一度確認することを強くおすすめします。
第2ターミナルは、展望デッキからの眺めも素晴らしく、東京湾と離着陸する飛行機を同時に楽しめるデートスポットとしても人気です。
第3ターミナル(T3):日本の空の玄関口、国際線専用ターミナル
かつて「国際線ターミナル」と呼ばれていたのが、現在の第3ターミナルです。
JALの国際線、多くの海外航空会社(デルタ航空、ユナイテッド航空、ブリティッシュ・エアウェイズ、キャセイパシフィック航空、大韓航空、チャイナエアラインなど)、そしてLCCの国際線などは、基本的にこの第3ターミナルを使用します。
24時間運用されている空港施設であり、深夜便や早朝便も多数発着しています。
江戸の町並みを再現した商業施設「江戸小路」や、日本文化を発信するイベントスペースがあり、外国人観光客を意識した和のテイストが随所に見られるのが特徴です。
ターミナル直結のホテルや、大規模な商業施設「羽田エアポートガーデン」も隣接しており、単なる移動拠点を超えた観光スポットとして進化を続けています。
ターミナル間の移動方法:無料シャトルバスと地下通路
間違ったターミナルに来てしまった場合や、国内線から国際線へ乗り継ぐ場合は、ターミナル間を移動する必要があります。
主な移動手段は以下の3つです。
1. 無料連絡バス(シャトルバス)
最も一般的で便利なのが、ターミナル間を循環している無料の連絡バスです。
「国内線ターミナル循環(第1⇔第2)」と「国内線・国際線ターミナル循環(第1・第2⇔第3)」の2種類があります。
運行間隔は日中であれば数分おきに来ますので、待ち時間はそれほどありません。
所要時間は、第1と第2の間は約3分程度ですが、第3ターミナルへの移動には約10分〜15分ほど見ておいた方が安全です。
2. 京急線・東京モノレール(条件付き無料)
国内線・国際線を乗り継ぐ旅客向けに、乗り継ぎ用の乗車票が配布される場合があります。
案内カウンターで航空券(パスポート等の提示が必要な場合も)を見せることで、ターミナル間の移動に必要な切符をもらえることがあります。
バスが渋滞などで遅れている場合など、定時性が高い鉄道移動は有効な選択肢です。
3. 地下連絡通路(第1⇔第2のみ)
実は、第1ターミナルと第2ターミナルの間には、地下を通る動く歩道付きの連絡通路があります。
京急線の改札口付近からアクセスでき、距離は約400メートルほどです。
バスを待つのがもどかしい場合や、荷物が少なくて歩きたい場合は、意外と早く移動できる裏ルートとして知られています。
徒歩で5分から10分程度で隣のターミナルへ行くことができます。
フロアマップを頭に入れる:出発と到着の階層
各ターミナルで共通して覚えておきたいのが、階層による役割分担です。
基本的には以下のようになっています。
・1階:到着ロビー(飛行機を降りて、荷物を受け取り、バスやタクシーに乗るフロア)
・2階(第3は3階):出発ロビー(チェックインカウンター、保安検査場があるフロア)
・上層階:レストラン、ショップ、展望デッキ
タクシーや自家用車で空港に送ってもらう際は、出発階である2階(または第3なら3階)の車寄せにつけてもらうとスムーズです。
逆に迎えに行く場合は、1階の到着ロビー付近で待機するのが鉄則です。
第1・第2ターミナルの出発ロビーは非常に横に長いため、自分が乗る航空会社のカウンターに近い出入り口(時計台の番号などで識別されています)を事前に調べておくと、重い荷物を持って歩く距離を減らせます。
例えば、第2ターミナルのANAの場合、北側と南側でチェックインカウンターが分かれていることがありますので、空港入口の案内板をよく確認しましょう。
第2章(ダイジェスト):アクセス完全比較
第3章:駐車場争奪戦を勝ち抜く!P1〜P5の特徴と予約テクニック
車で羽田空港に行く人にとって、最大の懸念事項は「駐車場が空いているか」でしょう。
ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始といった繁忙期には、朝の時点で「満車(120分待ち)」という表示が出ることも珍しくありません。
ここでは、羽田空港にある5つの駐車場(P1〜P5)の特徴と、予約戦争を勝ち抜くための知識を伝授します。
5つの駐車場の役割分担:どこに停めるべきか?
基本的には、利用するターミナルに近い駐車場を選ぶのが鉄則です。
・P1駐車場(第1ターミナル直結):JAL(南ウイング方面)、JTA、SFJ、SKY利用者に便利
・P2駐車場(第1ターミナル直結):JAL(北ウイング方面)、SKY利用者
・P3駐車場(第2ターミナル直結):ANA(国内線)、ADO、SNA、SFJ利用者に最適
・P4駐車場(第2ターミナル直結):ANA利用者はもちろん、国際線利用者用の予約枠も多い
・P5駐車場(第3ターミナル直結):国際線利用者専用
P1とP2は日本空港ビルデングが、P3とP4は空港施設管理組合が、P5は東京国際空港ターミナルが運営しており、微妙に管理主体が異なりますが、料金体系は基本的に横並びです。
駐車料金の仕組みと割引
通常期の料金は、入庫から30分無料、以降30分ごとに150円、24時間最大料金は1,530円(多客期は2,140円)となっています。
※P5のみ料金体系が異なり、最初の30分無料がなかったり、長時間駐車向けの料金設定になっていたりしますので注意が必要です。
3日以上の長期旅行の場合、民間駐車場(つばさパーキングやにこにこパーキングなど、空港周辺の送迎付き駐車場)の方が安くなるケースもありますが、空港係員に鍵を預けたくない人や、送迎の時間を待ちたくない人は、やはり空港内駐車場(公式)が一番便利です。
予約は「30日前の午前10時」が勝負!
繁忙期に確実に停めるには、事前予約が必須です。
予約は、利用日の30日前の午前10時から開始されます。
GWなどの超繁忙期の場合、この予約開始の瞬間にアクセスが集中し、数分で完売することもザラにあります。
事前に会員登録を済ませ、クレジットカード情報を手元に用意し、10時ジャストにクリックする気概が必要です。
もし予約が取れなかった場合でも、諦めてはいけません。
「キャンセル待ち」のシステムはありませんが、直前になってキャンセルが出ることは頻繁にあります。
こまめに予約サイトをチェックしていれば、ポロッと空きが出ることがあります。
「個室」や「バレーサービス」という選択肢
一部の駐車場には、追加料金を支払うことで利用できる特別なサービスがあります。
・個室駐車場(P4など):
シャッター付きの個室スペースに駐車でき、セキュリティも万全。高級車ユーザーに人気です。
・バレーパーキングサービス(廃止・変更の可能性あり要確認):
車寄せで係員にキーを預けるだけで、代わりに駐車してくれるサービス。帰りも車寄せまで持ってきてくれます。
時間の節約になり、非常にVIPな気分を味わえますが、予約難易度はさらに高いです。
EV(電気自動車)充電スタンド事情
P1〜P5のすべてに、EV・PHV用の充電スタンド(普通充電・急速充電)が設置されています。
特にP4駐車場には、充電器付きの車室が多く確保されています。
旅行中に満充電にしておけば、帰りのドライブも安心です。
第3章のまとめ
・JAL系はP1/P2/P5(国際線)、ANA系はP3/P4。
・予約は30日前の朝10時から。争奪戦に負けたらこまめなチェックで復活を狙う。
・どうしても満車の場合は、周辺の民間駐車場送迎プランも検討する。
・EVユーザーは充電スポットの場所を事前に確認。
完全版では、残りの全章(4章〜10章)をお読みいただけます
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