- はじめに:なぜ今、ANAカードが選ばれるのか?
- ANAカードの基本構造:一般・ワイド・ゴールド・プレミアムの違いを理解する
- 【完全網羅】ANAカード全43種スペック一覧・比較表
- 国際ブランドの賢い選び方:Visa, Mastercard, JCB, Amex, Dinersを徹底解剖
- ANAマイルの「貯め方」完全攻略
- ANAマイルの「使い方」価値最大化ガイド
- 付帯サービスの真価:空港ラウンジと旅行傷害保険を使いこなす
- ライフスタイル別・目的別 おすすめANAカード診断
- 上級者への道:スーパーフライヤーズカード(SFC)とSFC修行
- 競合カードとの比較:JALカード・楽天カード・Oliveとの違い
- ANAカードの申し込みから管理・解約までの手続きガイド
- まとめ:あなたの旅と日常をアップグレードする、運命の一枚
はじめに:なぜ今、ANAカードが選ばれるのか?
Masakiです。
旅行への期待が再燃する今、移動の価値を最大化するツールとして「ANAカード」が改めて注目を集めています。
ANAカードは単なるクレジットカードではありません。
それは、全日本空輸(ANA)のマイレージプログラム「ANAマイレージクラブ」の会員証機能を統合した、旅と日常をシームレスに繋ぐための鍵です。
このカードの真価は、飛行機の搭乗だけでなく、日々のショッピング、公共料金の支払いといったあらゆる決済シーンで「マイル」という名の共通通貨を貯められる点にあります。
貯まったマイルは、特典航空券として新たな旅の翼になるだけでなく、提携ホテルの宿泊や日々の買い物にも利用でき、ライフスタイルそのものを豊かにする可能性を秘めています。
しかし、その種類は40種類を超え、一般カードからプレミアムカード、提携ブランドの違いまで、その選択肢は多岐にわたります。
どのカードが自分にとって「運命の一枚」なのかを見極めるのは容易ではありません。
本ガイドでは、ANAカードの基本構造から、全種類のスペック比較、マイルの最も賢い貯め方・使い方、さらには上級会員資格「SFC」の取得戦略に至るまで、専門家の視点から徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたに最適なANAカードを確信を持って選べるようになるでしょう。
ANAカードの基本構造:一般・ワイド・ゴールド・プレミアムの違いを理解する
ANAカードは、主に4つのランク(階級)に分かれており、年会費と特典のバランスによってそれぞれの位置づけが異なります。
自身のライフスタイルや旅行の頻度に合わせて最適なランクを選ぶことが、カード選びの第一歩です。
一般カード:マイル入門者とライトユーザーの最初の選択肢
年会費は初年度無料で、2年目以降も2,200円(税込)からと手頃な設定です。
ANA便搭乗時には区間基本マイレージの10%がボーナスマイルとして加算され、毎年のカード継続時には1,000マイルが付与されます。
初めてマイルを貯める方や、年に1〜2回程度の旅行で利用する方に最適な入門カードです。
ワイドカード:搭乗頻度が高い国内線ユーザー向けの専門カード
一般カードの一つ上のランクで、年会費は7,975円(税込)からとなります。
このカードの最大の特徴は、搭乗ボーナスマイルが一般カードの10%からゴールドカードと同じ25%に引き上げられる点です。
しかし、このカードの選択には注意が必要です。
年会費は一般カードより約5,700円高いにもかかわらず、空港ラウンジの利用やショッピングでのマイル還元率向上といったゴールドカード特有の主要な特典は付帯しません。
この年会費の差を搭乗ボーナスマイルの増加分(一般カードとの差15%)だけで回収するには、相当な頻度で有償航空券を利用して搭乗する必要があります。
例えば、羽田-那覇(984マイル)を普通運賃(積算率100%)で利用した場合、1搭乗あたりのボーナスマイル差は約147マイル。
年会費の差を埋めるには、年間で約39回の搭乗(片道)が必要となり、非常に限定的な利用者層向けのカードと言えます。
ゴールドカード:特典とコストのバランスに優れた中心的存在
多くの利用者にとって最もバランスの取れた選択肢となるのがゴールドカードです。年会費は15,400円(税込)からと上がりますが、特典は飛躍的に向上します。
搭乗ボーナスマイル25%:ワイドカードと同率の高いボーナス。
マイル移行手数料無料:通常、ショッピングで貯めたポイントを高レートでマイルに交換する際に必要な年間6,600円(税込)等の手数料が無料になります。
空港ラウンジサービス:国内主要空港のカード会社ラウンジを無料で利用可能。
付帯保険の充実:海外・国内旅行傷害保険の補償額が大幅に増額されます。
頻繁な出張や旅行で空港をよく利用する方、日常の決済額が多く効率的にマイルを貯めたい方にとって、年会費以上の価値を提供してくれる一枚です。
プレミアムカード:最上級のサービスを求めるヘビーユーザーへ
ANAカードの最高峰に位置するのがプレミアムカードです。年会費は77,000円(税込)からと高額ですが、他の追随を許さない圧倒的な特典が付帯します。
搭乗ボーナスマイル50%:ANAグループ便利用時のマイル積算率が劇的に向上します。
ANAラウンジの利用:国内線のANAラウンジが無料で利用可能(カードブランドによる)。
最高水準の付帯保険:旅行傷害保険は最高1億円クラスの補償が付帯します。
コンシェルジュサービス:24時間365日、旅行やレストランの手配をサポートしてくれます。
決済額が非常に多く、国内外を頻繁に飛び回る経営者やエグゼクティブ層など、最高のサービスとマイル獲得効率を求める方に向けたカードです。
【完全網羅】ANAカード全43種スペック一覧・比較表
ANAカードの全体像を把握するために、主要なカードのスペックを一覧表にまとめました。
特に注目すべきは、一般カードやワイドカードで高還元率(1.0%)を目指す際に必要となる「マイル移行手数料」を加味した「実質年会費」です。
一見すると年会費が安く見えても、最大限マイルを貯めるためには追加コストがかかる場合があり、これがゴールドカードとの比較において重要な判断材料となります。
表1:ANAカード主要ラインナップ徹底比較表
カード名 | ランク | 国際ブランド | 本会員年会費(税込) | 実質年会費(1%還元時) | 通常マイル還元率 | 搭乗ボーナス | 継続ボーナス |
ANA JCB CARD FIRST | 若年層 | JCB | 無料(5年間) | 無料 | 1.0% | 10% | 3,000 |
ANAカード(学生用) | 学生 | JCB/Visa/Master | 無料(在学中) | 無料 (JCB) / 6,600円 (V/M) | 1.0% (JCB) / 0.5% (V/M) | 10% | 1,000 |
ANA JCB 一般カード | 一般 | JCB | 2,200円(初年度無料) | 7,700円 | 0.5% (1.0%*) | 10% | 1,000 |
ANA VISA/Master 一般カード | 一般 | Visa/Master | 2,200円(初年度無料) | 8,800円 | 0.5% (1.0%*) | 10% | 1,000 |
楽天ANAマイレージクラブカード | 一般 | Visa/Master/JCB | 550円(年1回利用で無料) | – | 0.5% | なし | なし |
ANA To Me CARD PASMO JCB (ソラチカ) | 一般 | JCB | 2,200円(初年度無料) | 7,700円 | 0.5% (1.0%*) | 10% | 1,000 |
ANAアメリカン・エキスプレス・カード | 一般 | AMEX | 7,700円 | 14,300円 | 1.0%* | 10% | 1,000 |
ANA JCB ワイドカード | ワイド | JCB | 7,975円 | 13,475円 | 0.5% (1.0%*) | 25% | 2,000 |
ANA VISA/Master ワイドカード | ワイド | Visa/Master | 7,975円 | 14,575円 | 0.5% (1.0%*) | 25% | 2,000 |
ANA JCB ワイドゴールドカード | ゴールド | JCB | 15,400円 | 15,400円 | 1.0% | 25% | 2,000 |
ANA VISA/Master ワイドゴールドカード | ゴールド | Visa/Master | 15,400円 | 15,400円 | 1.0% | 25% | 2,000 |
ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カード | ゴールド | AMEX | 34,100円 | 34,100円 | 1.0% | 25% | 2,000 |
ANAダイナースカード | ゴールド | Diners | 29,700円 | 29,700円 | 1.0% | 25% | 2,000 |
ANA JCB カード プレミアム | プレミアム | JCB | 77,000円 | 77,000円 | 1.3%~ | 50% | 10,000 |
ANA VISAプラチナ プレミアムカード | プレミアム | Visa | 88,000円 | 88,000円 | 1.5% | 50% | 10,000 |
ANAアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード | プレミアム | AMEX | 165,000円 | 165,000円 | 1.0%~ | 50% | 10,000 |
*注:還元率1.0%の達成には、別途有料の「10マイルコース」や「ポイント移行コース」への登録が必要です。実質年会費は、本会員年会費にその手数料を加算した金額です。ゴールドカード以上は移行手数料が無料です。学生用カードはブランドにより条件が異なります。
この表から、一般カードで1.0%還元を目指す場合の実質年会費が8,000円前後に達することがわかります。
これはゴールドカードの年会費に迫る金額であり、空港ラウンジや保険の充実度を考慮すると、多くのケースで最初からゴールドカードを選択する方が合理的である可能性を示唆しています。
国際ブランドの賢い選び方:Visa, Mastercard, JCB, Amex, Dinersを徹底解剖
ANAカードの性能を決定づけるもう一つの重要な要素が、提携する国際ブランドです。
単に「使えるお店の多さ」だけでなく、各ブランドが提供する独自の特典やサービス、そしてコスト構造を理解することが、最適な一枚を選ぶ上で不可欠です。
Visa/Mastercard (三井住友カード発行):世界標準の利便性とコスト削減の選択肢
世界トップクラスの加盟店網を誇り、国内外どこでも決済に困ることはほとんどありません。
最初の1枚や海外での利用が多い方には最も無難な選択肢です。
三井住友カード発行のANAカードには、「マイ・ペイすリボ」というリボ払いサービスに登録し、年に1回以上リボ払い手数料を支払うことで、翌年度の年会費が割引になる特典があります。
例えば、「ANA VISA/Master ワイドゴールドカード」なら年会費が15,400円から11,550円に割引されます。
ただし、リボ払いは金利手数料が発生するため、計画的な利用が前提となるコスト削減策です。
JCB:国内利用に強く、コストパフォーマンスに優れた選択肢
日本発の国際ブランドであり、国内での加盟店網やキャンペーンが充実しています。
JCBブランドのANAカードは、他ブランドと比較して長期的な価値を提供する堅実な選択肢と言えます。
マイル移行手数料が安い:一般カードやワイドカードで1.0%還元を目指す「10マイルコース」の年間手数料が5,500円(税込)と、Visa/Mastercardの6,600円(税込)より1,100円安く設定されています。
ポイント有効期限が長い:カード利用で貯まる「Oki Dokiポイント」の有効期限が一般カードで2年、ゴールドカードで3年と、Visa/MastercardのVポイント(通常1年)より長く、マイルへの交換タイミングを柔軟に選べます。
付帯保険が手厚い:特に「ANA JCB ワイドゴールドカード」は、海外旅行傷害保険が最高1億円(利用付帯)、ショッピングガード保険も年間最高500万円と、同ランクのVisa/Mastercardよりも補償が充実しています。
ラウンジ・キー:JCBのワイドゴールドカード以上には、世界1,400ヶ所以上の空港ラウンジを有料(35USドル)で利用できる「ラウンジ・キー」が付帯します。
American Express (アメックス):豪華な特典と短期集中型のマイル獲得戦略
アメックスブランドのANAカードは、高い年会費に見合う、あるいはそれを超える価値を提供するプレミアムな選択肢です。
特に、短期間で大量のマイルを獲得したいと考える利用者にとって、その戦略は非常に魅力的です。
強力な入会キャンペーン:他のブランドを圧倒する規模の入会キャンペーンが頻繁に実施され、数十万マイル相当のポイントを獲得できることもあります。これは、初年度の年会費(例:ゴールドで34,100円)を支払ってでも、大量のマイルを一気に獲得したいという「スプリント(短期集中)型」の戦略に適しています。
ポイントの有効期限が無期限:有料の「ポイント移行コース」(年間6,600円、ゴールド以上は無料)に登録すれば、ポイントの有効期限が無期限になります。これにより、マイルの有効期限(3年)を気にせず、じっくりと目標マイル数を貯めることが可能です。
充実のトラベルサービス:空港ラウンジの同伴者1名無料サービスや、手荷物無料宅配サービスなど、旅行を快適にする特典が豊富に付帯します。
Diners Club (ダイナース):高いステータスと富裕層向けサービス
ダイナースクラブは、利用限度額に一律の制限を設けないなど、高いステータスと信頼性を象徴するブランドです。
ANAダイナースカードは、特にグルメやエンターテイメントを重視する利用者に向けた特典が充実しています。
世界1,000ヶ所以上の空港ラウンジを利用できるなど、トラベルサービスも高水準です。
年会費は高めですが、そのステータスと独自のサービスに価値を見出すエグゼクティブ層に適したカードです。
表2:ANAカード国際ブランド別 特典・手数料比較 (ワイドゴールドカード基準)
項目 | JCB | Visa/Master | American Express | Diners Club |
年会費(税込) | 15,400円 | 15,400円 | 34,100円 | 29,700円 |
マイル移行手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
ポイント有効期限 | 3年 | 1年 | 無期限* | 無期限 |
海外旅行保険(最高) | 1億円(利用付帯) | 5,000万円(自動付帯) | 1億円(利用付帯) | 1億円(利用付帯) |
空港ラウンジ | 国内主要空港+ラウンジ・キー | 国内主要空港 | 国内主要空港(同伴者1名無料) | 国内外1,000ヶ所以上 |
特徴的な特典 | 保険の手厚さ、コストバランス | 年会費割引制度 | 豪華な入会特典、手厚い旅行サービス | グルメ優待、利用限度額の柔軟性 |
おすすめの利用者像 | 長期的な安定価値とコストを重視する方 | 幅広い利用シーンと年会費割引を求める方 | 短期で大量マイル獲得を目指す方、旅行サービスを重視する方 | 高いステータスとグルメ・エンタメ特典を求める方 |
*注:アメックスのポイント無期限には「ポイント移行コース」(ゴールド以上は無料)への登録が必要です。
ANAマイルの「貯め方」完全攻略
ANAカードの真価は、マイルをいかに効率的に貯めるかにかかっています。フライトだけでなく、日常のあらゆるシーンをマイル獲得の機会に変える戦略を身につけましょう。
フライトで貯める:搭乗ボーナスマイルの威力
ANAグループ便に搭乗すると、基本となるフライトマイルに加えて、ANAカード会員限定の「搭乗ボーナスマイル」が加算されます。
このボーナス率はカードのランクによって大きく異なり、マイルの貯まり方に決定的な差を生みます。
一般カード: +10%
ワイド、ゴールドカード: +25%
プレミアムカード: +50%
例えば、東京-ニューヨーク間(区間基本マイレージ6,723マイル)をビジネスクラス(積算率125%)で往復した場合、基本のフライトマイルは約21,000マイル。
これに加えて、プレミアムカードなら約10,500マイルものボーナスが上乗せされ、1回の旅行で国内線特典航空券に手が届くほどのマイルを獲得できます。
日常の支払いで貯める:10マイルコースの損益分岐点
日常のショッピングや公共料金の支払いで貯まるクレジットカード会社のポイント(Vポイント、Oki Dokiポイントなど)をマイルに交換するのが、陸マイラーの基本です。
一般カードやワイドカードでは、通常「1,000円=5マイル相当」(0.5%還元)のところ、年間手数料を支払うことで「1,000円=10マイル相当」(1.0%還元)になる「10マイルコース」を選択できます。
この年間手数料(JCB: 5,500円, Visa/Master: 6,600円)を支払うべきかどうかの「損益分岐点」は重要な判断基準です。
1マイルの価値を1.5円と仮定した場合、手数料を支払って得られる追加マイルの価値が手数料を上回る決済額を計算します。
Visa/Masterの場合: 。追加で4,400マイル以上獲得できれば元が取れます。還元率の差は0.5%なので、
つまり、年間88万円以上をカード決済するなら、10マイルコースに加入した方がお得になります。
ANAカードマイルプラス加盟店:マイルが二重に貯まる
セブン-イレブン、マツモトキヨシ、ENEOS、高島屋、スターバックス(オンラインチャージ)といった「ANAカードマイルプラス」加盟店でANAカードを利用すると、通常のクレジットカード会社のポイントに加えて、100円または200円につき1マイルが直接ANAマイレージクラブ口座に貯まります。
これはポイントの二重取りであり、マイル獲得を加速させる非常に強力な仕組みです。
ANA Payとの連携:マイルの三重取り戦略
スマホ決済アプリ「ANA Pay」を活用することで、マイル獲得効率をさらに高める「マイルの二重取り・三重取り」が可能です。
チャージで貯める: ANAカード(Visa/Master/JCB/Diners)からANA Payにチャージすると、カードランクに応じて1,000円ごとに最大11マイルが貯まります。
支払いで貯める: チャージしたANA Pay残高で支払うと、200円につき1マイルが貯まります。
例えば、ANAカードマイルプラス加盟店のセブン-イレブンで1,000円の買い物をANA Payで行う場合:
ANAカード(プレミアム)からANA Payへ1,000円チャージ:11マイル獲得
ANA Payで1,000円支払い:5マイル獲得
セブン-イレブンはANAカードマイルプラス加盟店のため:5マイル獲得(200円=1マイル)
合計で21マイル獲得となり、通常のクレジットカード決済(1.0%還元で10マイル)の2倍以上の効率を実現できます。
ポイントサイト活用術:陸マイラー上級者への道
フライトに乗らずに大量マイルを貯める「陸マイラー」にとって、ポイントサイトの活用は必須科目です。
モッピーやハピタスといったサイトで広告利用やアンケート回答を通じて貯めたポイントを、高い交換レートでANAマイルに交換します。
現在、最も交換レートが高いとされるのが「TOKYUルート」です。
これは、ポイントサイトのポイントを「ドットマネー」経由で「TOKYU POINT」に交換し、そこからANAマイルに交換するルートです。
このルートを利用するには「ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO マスターカード」が必須となりますが、交換レートは75%に達します。

ANAマイルの「使い方」価値最大化ガイド
苦労して貯めたマイルの価値は、使い方によって大きく変動します。
「1マイルの価値」を理解し、最も効果的な交換先を選ぶことが重要です。
特典航空券:1マイルの価値を最大化する王道
マイルの価値が最も高まる使い方は、やはり「特典航空券」への交換です。
特に、航空券代が高額になる国際線のビジネスクラスやファーストクラスで利用した場合、1マイルあたりの価値は5円、時には10円以上に達することもあります。
国内線でも、繁忙期の人気路線で利用すれば1マイル=3円以上の価値になることも少なくありません。
ANA SKYコイン:柔軟性と上級会員資格取得への道
「ANA SKYコイン」は、10コイン=10円として航空券や旅行商品の支払いに利用できる電子クーポンです。
マイルからの交換レートは、ANAカードの種類や会員ステイタスによって1.0倍から最大1.7倍まで変動します。
SKYコインの最大のメリットは、特典航空券と異なり、購入した航空券でフライトマイルや上級会員資格に必要な「プレミアムポイント(PP)」が貯まる点です。
そのため、上級会員を目指す「SFC修行」を行う際には、マイルを高い交換レートでSKYコインに変えて航空券を購入するのが定石となっています。
また、特典航空券のような座席数の制限がなく、空席があればいつでも利用できる柔軟性も魅力です。
提携ポイントへの交換:最終手段としての選択肢
マイルは楽天ポイントやTポイントなどの提携先ポイントにも交換可能ですが、交換レートは1マイル=1円相当(またはそれ以下)と低く、マイルの価値を大きく損なうため推奨されません。
マイルの有効期限(3年間)が迫っているものの、旅行の予定が立たない場合の最終手段として考えるべきでしょう。
表3:1マイルの価値比較:あなたのマイル、どう使うのが一番お得?
交換先 | 1マイルあたりの価値(円換算目安) | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
国際線ビジネスクラス特典航空券 | 5.0円~15.0円 | 圧倒的に高い価値。豪華な旅行体験が可能。 | 必要マイル数が多く、予約の競争率が高い。 | 大量のマイルを貯めて、非日常の旅行を体験したい方。 |
国内線特典航空券(繁忙期) | 2.0円~4.0円 | 少ないマイルから交換可能。国内旅行に最適。 | 時期や路線によって価値が変動。PPは貯まらない。 | 定期的に国内旅行に行く方。マイルをこまめに使いたい方。 |
ANA SKYコイン(交換レート1.7倍) | 1.7円 | 航空券購入でマイル・PPが貯まる。座席制限なし。 | 特典航空券ほどの高い価値にはなりにくい。 | SFC修行など、上級会員資格の取得を目指す方。 |
ANA SKYコイン(交換レート1.0倍) | 1.0円 | 柔軟に使える。少額からでも利用可能。 | 交換レートが低く、マイルの価値が下がる。 | 端数のマイルを使い切りたい方。 |
提携ポイント | 1.0円以下 | マイル失効を防げる。 | 最も価値が低い交換先。 | マイルの有効期限が迫り、他に使い道がない方。 |


付帯サービスの真価:空港ラウンジと旅行傷害保険を使いこなす
ANAカードの価値はマイルだけではありません。
特にゴールドカード以上では、旅の質を格段に向上させる空港ラウンジサービスや、万が一に備える旅行傷害保険が大きな魅力となります。
空港ラウンジ:2つのラウンジの違いを理解する
ANAカードで利用できる空港ラウンジには、大きく分けて2種類あります。
カード会社ラウンジ: 主にゴールドカード以上の保有者が、カードと当日の搭乗券を提示することで利用できるラウンジです。国内主要空港に設置されており、ソフトドリンクやWi-Fiサービスが提供され、出発前の時間を静かに過ごすことができます。
ANAラウンジ: ANAが運営する、よりグレードの高いラウンジです。軽食やアルコール類、シャワールーム(国際線)などが提供されます。利用条件は厳しく、原則としてプレミアムクラスへの搭乗、ANAの上級会員資格(プラチナ以上)、または「ANAカード プレミアム」の保有者などに限定されます。
旅行傷害保険:自動付帯と利用付帯の決定的違い
クレジットカードに付帯する旅行傷害保険は、「自動付帯」と「利用付帯」の2種類があり、この違いを理解しておくことは極めて重要です。
自動付帯: そのカードを保有しているだけで、旅行代金をそのカードで支払っていなくても保険が適用されます。
利用付帯: そのカードでツアー代金や航空券などの旅行代金を支払うことを条件に、保険が適用されます。
近年、カード会社はコスト削減のため、これまで自動付帯だった保険を利用付帯に変更する傾向にあります。
例えば、ANAワイドゴールドカードの海外旅行傷害保険は、2025年10月16日以降の出発分から利用付帯へと変更されます。
自動付帯だと思い込んで旅行に出かけ、万が一の際に補償が受けられないという事態を避けるため、必ず出発前に自身のカードの保険適用条件を確認する習慣が不可欠です。
表4:ANAカードランク別 付帯特典比較
カードランク | 空港ラウンジ | 海外旅行保険(最高額) | 付帯条件(海外) | 航空便遅延保険 |
一般 | なし | 1,000万円 | 自動付帯 | なし |
ワイド | なし | 5,000万円 | 自動付帯 | なし |
ゴールド | カード会社ラウンジ | 5,000万円~1億円 | 自動付帯/一部利用付帯 | あり(一部カード) |
プレミアム | ANAラウンジ(国内線)+カード会社ラウンジ | 1億円 | 自動付帯/一部利用付帯 | あり |
*注:補償額や付帯条件はカードの国際ブランドによって異なります。詳細は各カード会社の規定をご確認ください。
ライフスタイル別・目的別 おすすめANAカード診断
多種多様なANAカードの中から、あなたのライフスタイルや目的に最適な一枚を診断します。
学生・20代向け:年会費無料でマイルデビュー
ANAカード(学生用): 在学中は年会費が完全無料。入会・継続で毎年1,000マイルが付与され、卒業時には2,000マイルのボーナスももらえます。特にJCBブランドは、マイル移行手数料なしで1.0%の高還元率を実現できるため、学生にとって最強の一枚と言えます。
ANA JCB CARD FIRST: 18歳から29歳限定(学生除く)で、5年間年会費が無料になるカードです。マイル還元率も1.0%と高く、毎年3,000マイルの継続ボーナスが付与されるなど、若手社会人のファーストカードとして非常に優れています。
たまに旅行に行くライトユーザー向け:コストを抑えてマイルを貯める
楽天ANAマイレージクラブカード: 年に1回以上の利用で年会費が無料になる、実質無料で持てるANAカードです。マイル還元率は0.5%と標準的ですが、コストをかけずにANAマイレージクラブの機能を手に入れたい方に最適です。
ANA一般カード(JCB/Visa/Master): 初年度年会費が無料で、ANAカードマイルプラスや搭乗ボーナスといったANAカード本来の特典を享受できます。決済額が少ないうちは楽天ANAカード、決済額が増えてきたらANA一般カードで10マイルコースを検討するというステップアップも有効です。
出張が多いビジネスパーソン向け:移動を快適にするゴールドカード
ANAワイドゴールドカード(JCB/Visa/Master): ビジネスパーソンにとって費用対効果が最も高い一枚です。空港ラウンジでの休憩、手厚い旅行保険、優先チェックインカウンター(一部カード)、そして手数料無料で1.0%のマイル還元率は、出張のストレスを軽減し、経費の支払いを効率的にマイルへと転換します。特に、長期的なコストパフォーマンスを重視するならJCB、年会費割引を狙うならVisa/Masterが候補となります。
陸マイラー向け:日常決済でマイルを極める
ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO マスターカード: ポイントサイトで貯めたポイントを高レート(75%)でANAマイルに交換する「TOKYUルート」に必須のカード。陸マイラー活動の核となる一枚です。
補完戦略としての2枚持ち: 陸マイラーの多くは、単一のカードに頼るのではなく、複数のカードを組み合わせる「2枚持ち」戦略を取ります。例えば、ポイント交換用に「ANA TOKYUカード」を保有しつつ、実際のフライト利用や高額決済、保険適用のために「ANAワイドゴールドカード」を持つことで、あらゆるシーンでマイル獲得を最大化できます。
家族向け:マイルを合算して大きな夢を叶える
ANAカードファミリーマイル制度: 家族それぞれが貯めたマイルを、特典交換時に合算できるANAカード会員限定のサービスです。これにより、一人のマイルでは届かなかった高額な特典(例:家族でのハワイ旅行)にも手が届くようになります。
家族カードの活用: 本会員より安い年会費で発行できる家族カードを利用すれば、家族の支出をまとめて本会員のポイント(マイル)に集約できます。家族のマイル獲得力を飛躍的に高めるための基本戦略です。
上級者への道:スーパーフライヤーズカード(SFC)とSFC修行
ANAマイラーが最終的に目指す頂、それが「スーパーフライヤーズカード(SFC)」です。
これは、一度取得すれば年会費を払い続ける限り、ANAの上級会員資格(スターアライアンス・ゴールド)を半永久的に維持できる特別なクレジットカードです。
SFC修行の基礎知識
SFCを手に入れるには、まずANAの上級会員ステイタス「プラチナ」に到達する必要があります。
そのためには、1年間(1月〜12月)に飛行機への搭乗でのみ得られる「プレミアムポイント(PP)」を50,000ポイント貯めなければなりません。
マイルとは異なり、PPはショッピングでは貯まらないため、この50,000PPを獲得するためだけに短期間に何度も飛行機に搭乗する行為が「SFC修行」と呼ばれています。
修行にかかる費用は一般的に50万円前後とされ、いかに費用を抑えて効率よくPPを稼ぐか、その指標となるのが「PP単価(航空券価格 ÷ 獲得PP)」です。
PP単価10円以下が効率の良い修行の目安とされています。
SFC修行に最も重要な決断:修行を始める前のカード選び
SFC修行を始めるにあたって、最も重要かつ後戻りのできない決断が、「どのANAカードで修行を始めるか」です。
プラチナステータス達成後、現在保有しているANAカードを同系列のSFCに「切り替える」形で申し込みます。
この「切り替え」は、多くの場合、新たな与信審査なしで行われます。
これはつまり、もし「ANA一般カード」で修行を達成した場合、切り替えられるのは「ANAスーパーフライヤーズカード(一般)」であり、特典が充実した「ANAスーパーフライヤーズゴールドカード」が欲しければ、改めて厳しいゴールドカードの審査を受ける必要があるということです。
しかし、最初から「ANAワイドゴールドカード」を保有していれば、審査なしでスムーズに「ANAスーパーフライヤーズゴールドカード」へ切り替えられます。
SFC修行に使うカードは、あなたの生涯のメインカードになる可能性が極めて高いカードです。 そのため、搭乗ボーナス(25%)やマイル還元率、将来的なSFCの年会費と特典のバランスを考慮すると、「ANAワイドゴールドカード」で修行を開始することが最も合理的で王道な選択と言えます。
王道ルート紹介:羽田-那覇(OKAタッチ)
国内線で最も効率よくPPを稼げる王道ルートが、羽田-那覇路線です。
この路線をひたすら往復することから「OKAタッチ」とも呼ばれます。
SUPER VALUE運賃などを利用すれば、PP単価8円台を達成することも可能です。
プレミアムクラスを利用すれば獲得PPは倍増し、搭乗回数を半分に減らすこともできます。
競合カードとの比較:JALカード・楽天カード・Oliveとの違い
ANAカードを選ぶことは、ANAおよびスターアライアンスのエコシステムを選ぶことを意味します。他の選択肢と比較することで、その決断が自身にとって最適かを確認しましょう。
表5:ANAカード vs. 主要競合カード
カード | 年会費(税込) | 基本マイル/ポイント還元率 | 提携アライアンス | 特徴 | ANAカードとの比較 |
ANAワイドゴールド | 15,400円 | 1.0% | スターアライアンス | バランスの取れた特典とマイル還元率。SFCへの道。 | 世界最大の航空連合。特典航空券の選択肢が豊富。 |
JAL CLUB-Aゴールド | 17,600円 | 1.0%* | ワンワールド | JAL独自の特典。JGCへの道。 | 質の高いサービスで定評のある航空会社が多い。 |
楽天ANAマイレージクラブカード | 550円(実質無料) | 0.5% | スターアライアンス | 年会費が実質無料。楽天ポイントとの連携。 | コストをかけずに始められるが、ボーナスマイル等の特典はなし。 |
Oliveフレキシブルペイ ゴールド | 5,500円** | 0.5% | – | 対象コンビニ・飲食店で高還元。Vポイントが貯まる。 | ANAカードとの併用で真価を発揮。単体ではマイルカードとして非効率。 |
*JALカードはショッピングマイル・プレミアム(年会費4,950円)加入時。
Oliveは年間100万円利用で翌年以降永年無料。
vs. JALカード: 永遠のライバル。スターアライアンス(ANA)とワンワールド(JAL)のどちらの航空連合を主に利用したいかが最大の分岐点です。カードの基本的な構造や特典は類似しています。
vs. 楽天ANAマイレージクラブカード: 年会費をかけたくない初心者向けの選択肢。ただし、搭乗ボーナスや継続ボーナスがないため、本格的にマイルを貯めたい場合はANAカード(一般)以上が推奨されます。
vs. Olive: 対象のコンビニ・飲食店で最大7%以上のVポイントが貯まる強力なカード。ANAカードを保有していると、このVポイントを0.6%のレートでANAマイルに交換できるため、ANAカードのサブカードとして併用することで、マイル獲得を劇的に加速させることができます。
ANAカードの申し込みから管理・解約までの手続きガイド
カードライフサイクル全体にわたる実用的な手続きを解説します。
申し込み方法と審査
ANAの公式サイトまたは各カード会社のウェブサイトからオンラインで申し込みが可能です。申し込み後、カード会社による審査が行われ、通常1〜3週間程度でカードが発行されます。
住所変更:2段階の手続きを忘れずに
住所を変更した場合、2段階の手続きが必要な点に注意が必要です。
1.カード発行会社への連絡: まず、三井住友カードなら「Vpass」、JCBなら「MyJCB」といった各カード会社の会員サイトや電話で住所変更手続きを行います。
2;ANAマイレージクラブへの連絡: 次に、ANAマイレージクラブ・サービスセンターにも連絡し、住所変更を届け出る必要があります。これを怠ると、マイル関連の重要なお知らせが届かなくなる可能性があります。
紛失・盗難時の対応
カードを紛失・盗難された場合は、直ちにカード発行会社の紛失・盗難受付デスクに連絡し、カードの利用停止手続きを行ってください。これらのデスクは24時間365日対応しています。
三井住友カード: 0120-919-456
JCB: 0120-794-082
アメリカン・エキスプレス: (一般)0120-965-877, (ゴールド)0120-958-677
ダイナースクラブ: 0120-074-024
解約手続きと注意点:マイル失効を防ぐために
ANAカードの解約は、各カード会社のコールセンターへの電話で行います。解約する際に最も注意すべきは、貯めたマイルの失効です。
ANAカードを解約すると、紐づけられたANAマイレージクラブも同時に退会扱いとなり、マイルがすべて失効してしまいます。
マイル失効を防ぐには、解約前に以下のいずれかの手続きが必要です。
別のANAマイレージクラブカードを保有する: クレジット機能のない無料の「ANAマイレージクラブカード」などを事前に発行しておき、ANAマイレージクラブ・サービスセンターに電話してマイル口座をそちらに統合してもらいます。
マイルを使い切る: SKYコインや特典に交換して、マイル残高をゼロにしてから解約します。
まとめ:あなたの旅と日常をアップグレードする、運命の一枚
ANAカードの世界は奥深く、その選択はあなたのライフスタイルを映し出す鏡となります。
「最高のANAカード」は一つではありません。
あなたにとっての最高のカードは、あなたの旅の頻度、日々の決済額、そしてマイルを通じて実現したい夢によって決まります。
この記事では、カードの基本構造から上級戦略まで、最適な一枚を見つけるための羅針盤となる知識を提供してきました。
最終的な決断を下す前に、今一度ご自身に問いかけてみてください。
私の旅行スタイルは?:年に一度のレジャーか、月に何度も飛び回るビジネスか。
私の決済スタイルは?:年間決済額はいくらか。10マイルコースの損益分岐点を超えているか。
私の目標は何か?:短期的なボーナスで一気にマイルを獲得したいのか(スプリント型)、長期的に安定した価値を求めるのか(マラソン型)。
私の最終ゴールはどこにあるか?:豪華なビジネスクラスでの旅行か、それとも生涯にわたる上級会員資格「SFC」の獲得か。
これらの問いへの答えが、あなたを「運命の一枚」へと導いてくれるはずです。さあ、あなたに最適なANAカードを選び、次の旅と、そしてこれからの日常を、さらに豊かにアップグレードしましょう。


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